ゴールデングラブ賞が獲れて、本当に光栄です。守備を評価されるこの賞は、数字や成績で優劣を競うものではなく、記者投票での選考。1年間、一生懸命に甲子園のセンターを守ってきて、今回が5度目の受賞ですが、今年が一番うれしいですね。
打てなくて、走れなかった06年。それでも、守ることだけはしっかりとやってチームの勝利に貢献しようと頑張ってきたつもりです。盗塁のタイトルと同じように、現役選手であるうちは、ボクにとって誰にも渡したくない賞の一つになりました。
これまで岡田監督にも、吉竹チーフ野手コーチにもこう言われました。「外野のリーダー、外野のキャプテンになれ」って。この賞とは関係なく、ボクがセンターを守っているから、その役目をするのは当然です。
今年はレフトの金本さんも、ライトの浜中も、よくボクの方を見てきました。"どうするんや?"っていう目で…。球場、相手打者、風向き、芝の状態…。さらにアウトカウントや、極端にいえばボールカウントによっても守備位置はかわってきます。
それまではフルスイングしてきても、2ストライクになればミート中心におっつけてくるタイプの打者がいるからです。1点もやらない前進守備を敷くのか、後ろの走者を還さない守備を敷くのか…。外野はベンチから遠いので、ボクがベンチの作戦を知って右翼左翼を動かします。
でも来年は状況をみてまず自分の判断で自分を含めた3人の守備陣形を動かしてから、ベンチに"これでいいですか?"と、一歩、進んだやり取りをしてみようと思っています。もしベンチが違う作戦を考えていたら、訂正してくるでしょうし。
久保投手コーチにも試合中、その日の阪神の先発投手の調子を聞くようにしているんです。調子がよければ外野の頭をこされる打球の確率は低くなりますし、その逆もわかります。あと基本的には頭を越される打球はしょうがないと思っています。でも前にポテンと落ちる打球は拾ってあげるのと、ヒットになるのではピッチャーのダメージが違うと思う。だから打った瞬間の一歩目は、ボクは前へ反応するようにしていますね。
最後に、こだわっているのが攻守交代時の全力疾走。センターまでダッシュで行って、ダッシュで帰ってくる。これは野球を始めた頃からのボクのスタイル。このように守備にも色々とこだわりがあるので、今年もGグラブ賞という最大の評価をいただいて、本当に感謝しているところです。
(阪神タイガース 外野手)
=協力 オフィスS・I・C=
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