あの晴れやかな井川の笑顔を見たのは初めてでした。ポスティングでのメジャー移籍が正式に決定した10日夜はホテルの自室のテレビで会見の様子を見ていました。これで本当にメジャーに行くんだな・・・。でも、夢がかなって本当に良かったと思いました。
井川との思い出はいろいろあります。最初の印象は体が細い投手。でも、人一倍に練習をしていたし、外野で黙々と走る姿とかも見て来ましたからね。「こいつはすごい投手になるんじゃないか」と思っていました。どんどん体は大きくなっていくし、年々、進化していくのが目に見えてわかりました。
ボクがプロ1年目の2001年に井川は9勝を挙げたんです。その年から6年間、ずっと先発ローテションを守って来ましたからね。1度もローテから外れることなく、マウンドに登り続けた。それは普通じゃ考えられないことですよ。
どんなことがあっても井川は周りから何を言われようが、自分のスタイルを貫いた。後輩ながら尊敬出来る、すごい選手でした。200イニング投げて、5年連続で2ケタ勝利を挙げてきた。心技体を含めて日本でナンバーワンの投手だと思っています。
ずっと一緒に戦って来て、井川の投げる後ろで守ってきた。もちろん来年も井川と一緒に優勝を目指して戦いたかった。でも・・・。メジャーに行くことは長年の夢だった。それがかなったんだから、気持ちよく送り出してあげたいと思います。
阪神タイガースの代表として、日本の代表として頑張って来てもらいたい。いつまでも阪神の看板を背負って戦ってほしい。ボクも「井川はダメ」とか言われたたくなし、そんな言葉も聞きたくないです。環境もまったく違う場所で活躍することは難しいことかもしれないけど、絶対に結果を残してほしいのです。
井川が移籍することはチームにとって大きな痛手。優勝を目指す上で痛いかもしれないけど、それはチームみんなでカバーしていきたいと思います。カバーするしかいない。そのためにもボクも頑張ります。
きょう12日から秋季キャンプも最終クール。ボク自身は順調に来ているし、充実した日々を過ごせています。しんどい中でも野球を楽しみながら、練習することが出来ています。もうひと踏ん張り。来年に向けて「よし!これだ」というものをつかむためにも、課題をもって取り組んでいきます。
(阪神タイガース外野手)
=協力オフィスS・I・C=
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